大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

山口地方裁判所 昭和58年(わ)256号 判決 1984年7月20日

裁判所書記官

三原忠

本籍

山口県下関市唐戸町五番地の一二

住居

同町二番五号

婦人服小売業

安部靖子

昭和九年二月九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官猪狩俊郎出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月および罰金九〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、山口県下関市唐戸町二番五号においてブテイク安部の名称で婦人服小売業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て

第一  昭和五五年分の所得金額は三、五八二万八、〇〇三円で、これに対する所得税額は一、三八〇万七、一〇〇円であったにもかかわらず、売上除外等により右所得の一部を秘匿した上、同五六年三月一六日、同県下関市山の口町一番一八号所在の下関税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額は八三二万九、四四五円で、これに対する所得税額は七六万四、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、所得税一、三〇四万二、七〇〇円を免れ

第二  同五六年分の所得金額は二、四九八万〇、七五九円で、これに対する所得税額は七五六万三、五〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により右所得の一部を秘匿した上、同五七年三月一五日、前記下関税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額は七二二万二、一三四円で、これに対する所得税額は五〇万七、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、所得税七〇五万六、四〇〇円を免れ

第三  同五七年分の所得金額は二、九一七万九、七四二円で、これに対する所得税額は一、〇二〇万五、〇〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により右所得の一部を秘匿した上、同五八年三月一五日、前記下関税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額は九五九万三、三七〇円で、これに対する所得税額は一四九万九、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、所得税八七〇万五、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(七通)

一  東和枝の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  大蔵事務官各作成の収入金額調査書、調査事績報告書、期首期末商品たな卸高調査書、経費調査書、青色申告の取消に伴う是否認金額調査書、「公示のがれ」所得減算額調査書、利子所得、配当所得、未払源泉所得税調査書、雑所得調査書

一  下関税務署長作成の所得税の青色申告の承認取消し通知書(謄本)

一  検察事務官作成の電話聴取書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(一)

一  押収してある所得税確定申告書(五五年分)一綴(昭和五九年押第一三号の三)

一  所得税の修正申告書(五五年分)(謄本)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(二)

一  押収してある所得税確定申告書(五六年分)一綴(同押号の二)

一  所得税の修正申告書(五六年分)(謄本)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(三)

一  押収してある所得税確定申告書(五七年分)一綴(同押号の一)

一  所得税の修正申告書(五七年分)(謄本)

(法令の適用)

判示第一の所為 昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条

判示第二、第三の各所為

所得税法二三八条

併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(懲役刑につき犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)

労役場留置 同法一八条

執行猶予 同法二五条一項

(裁判官 七澤章)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例